駐在員レポート
新しい祝日-端午節
2012.6.1
日中経済協会 上海事務所 北海道経済交流室 楊 菁
清明節が終わり、端午の日が近づいてくる。子供の頃、嫌になるまで一日三食粽を食べたり、鴨の卵が入っている袋を首からぶら下げて走ったりしていた様子が自然に頭に浮かんでくる。昔から端午節にヨモギを掛け、ドラゴンボートで競艇競技を行うなどの風習が定着していた中で、時間の流れとともに粽を食べること以外の風習は一時見られなくなった時期もあったが、近年中国政府が無形文化財の保護を提唱し、端午節も祝日として国民の休日に定められ、それと同時に中国の伝統的な文化として端午節の気分もまた盛り上がってきた。
中国の伝統的な祝日としては春節、清明節、端午節や中秋節などがある。端午節はその四大祝日の一つであり、その他の三大祝日と比べると、知名度はそれほど高くない。しかし、行われる行事が最も多彩であり、特徴的な中国的な風情が強く感じられるのは端午節が一番ではないかと思われる。旧暦の五月五日は端午の日となっており、まったく「吉日」というわけではない。逆に、民間では「厄日」とまで言われていた。厄を除くために、各家庭ではそれぞれヨモギを門に掛けたり、雄黄酒(雄黄を粉にして酒に入れる)を飲んだりする風習があり、それは自分自身や家族の病気予防のためとされている。なぜかというと、ヨモギや雄黄酒は害虫除けの役割を果たしているからである。
端午の由来には、色々な説があるようだが、屈原という春秋時期の詩人との関わりの説が最も広く受け入れられているようである。民間では屈原を追悼するために、楚の国民が屈原の亡骸を魚に食われないよう魚の餌として粽を川に投げ込み、その粽を運ぶのに使われていた船がドラゴンボートであるという説が昔から伝わっている。いつの頃からか、粽は一般の食べ物になり、ドラゴンボートも競技として用いられるようになった。
元々は普通の日に過ぎなかったが、今日ではもはや普通の日ではなくなり、国民の新しい祝日として、端午節がまた特別な意義を持ったのではないかと思う。
競艇競技
よもぎ